ウディ アレン

ウディ アレンの小説がこんなに面白いなんて知りませんでした。
もう最高!

『わが哲学』より引用

まずキルケゴールサルトルから手をつけ、次にスピノザ、ヒューム、カフカカミュ、と快調に飛ばした。最初恐れていたような退屈は感じなかった。むしろ、これらの偉大な思想家たちが、道徳、芸術、倫理、人生、さらには死に対して、大胆かつ敏活に攻撃を加えていく、そのやり方に魅了された。
キルケゴールのあの典型的に明晰な一文に出会ったときの感動は、いまも忘れられない。

「そのものをそのもの自体(すなわち、それ自身)と結びつけるような、そうした関係は、そのものを形作っているか、またはほかのものによって形作られているかの、いずれかでなくてはならない」
この概念に接して、わたしの目には涙があふれた。ああ、世の中にはこれほどにも頭のいい人間がいるのか!(わたしときたら、『どうぶつえんのいちにち』という題でも、意味のあるセンテンスをふたつ書くのに苦労するほどだ)。
たしかに、いま引用した一節の意味は、わたしにはまるでちんぷんかんぷんである。
しかしキルケゴールが楽しんでるなら、それでいいじゃないか。

ぜひご一読を!

これでおあいこ―ウディ・アレン短篇集 (1981年)
これでおあいこ (河出文庫)